6.Physical Value Setting 物理量の計算
ここでは計測値の物理量への換算の指定を行います。ほとんどのセンサーでは物理量を直接出力できないので、電圧値としてロガーが記録するというのは定石です。本ロガ ーでもアナログ値はレンジに依存せずmV単位での計測を行っています。一方でユーザーが得たいのは物理量と呼ばれる値です。例えば、m(メートル)というのも物理量で表 現されているからこそ、この程度の長さであるという理解がしやすいわけです。
まずは説明例として日射計を考えましょう。多くの日射計はおおよそ7mV
at 1000W程度の出力を出し、厳密にはセンサー個別の値を持っています。これを校正係数と呼び ます。記載例として7.123mV/KWとしたとき、これは1KWの日射を受けると7.123mVの出力を出しますという意味です。アナログの接続はDIFF1chに日射計の出力を入力 して、センサーネームにRAD(W/m2)を、レンジは15mVに設定します。ここまでで電圧として読むことは出来ます。次にphysical Value Settingのページを見てください。
ここではアナログ設定でActivatedされたChのみが表示され、かつ、Variable(変数)を自動的に定義しています。アナログの設定時にRAD(W/m2)のセンサーネームを入れて いるのでそれが反映さており、X001が変数だという意味です。Equationに「X001/7.123*1000」を入力するとW単位で演算することになります。=を入力しないことに注意 してください。検算はEnter Any Valueのカラムに7.123を入力し、Checkボタンを押します。DIFF1への入力が7.123mV時に演算結果がどうなるかを確認できる機能です。 Resultに1000が帰ってきますが、これは1000Wを意味しますので、式が正しく入力できたことを確認できました。もし式が破綻していたらエラーが出ますので、確認して 修正してください。この図はSE3に土壌水分センサーを接続した場合も示しています。例えばDelta-T社SM300の場合の換算式は、ミネラル土壌において
θ=-0.071+1.770V-3.995V^2+6.098V^3-4.319V^4+1.157V^5
θ:VWC(m3/m3)、V:出力電圧
ですが、MIJ01での計測は常にmV単位ですから、Vの項は/1000します。以下の式になります。 -0.071+1.770*(X003/1000)-3.995*(X003/1000)^2+6.098*(X003/1000)^3-4.319*(X003/1000)^4+1.157*(X003/1000)^5 500mV時の演算を試すと0.343になりますから正常な演算と判断できます。
使える関数は右上のカラムに全部記載しています。仮に入力した式が間違っていて、でも式としては成立する場合もあり得ますが、MIJ01では演算の基になる生データ(mV) を記録しないという設定は不可能なので、生データさえ残ればリカバリは可能という仕様にしています。
この物理量の換算式を入力して保存した後、Analog SettingのページでRead
Nowを押すとMeasured Voltage(mV)の右横のカラムPhysical Valueのカラムには演算後の値が 表示されます。センサーの接続が完了し、各パラメータの出力と物理量を確認していただけます。
ロガー本体ではこの演算を行なうことはなく、かつ式そのものも記憶しないことに注意してください。Save Setting FileボタンでBothもしくはPCを選定したときに、式は PCに保存されますが、Bothであってもロガーには式以外の設定内容しか保存されません。常に生データを計測するまでという制約を受けた設定のみを記憶するという意味 です。演算を有効化する段取りは、PCに保存した演算式を含む設定ファイルをELOGで読み込み、そしてコンバートすることになります。ロガーでログした後のデータの 演算処理は以下です。
1. ロガーで得たログデータ(拡張子emj)はメモリーカードに保存されています。ロガーの停止後にカードを抜き、PCに直接接続します。ログデータをデスクトップなどにコ ピー&ペーストしてください。
2. ELOGを立ち上げ、PCに保存している設定ファイル(拡張子esf)をRead
Settig Fileボタンで読み込みます。
3. ConvertメニューからConvert Data Fileを選定し、コピペしたログデータを指定します。
4. 基データと同じ階層にCSVに変換されたログファイルが作成されます。このCSVには演算結果も保存されています。