3.専用ソフトウェアELOGの使い方
ここでは実際にELOGの画面を見ながら解説します。付属のUSBケーブルでPCとロガーを接続し、ELOGアイコンをダブルクリックで起動します。最初に表示されるのは Analog Settingです。一番よく使うページでもあります。ELOGの役割は以下の3つです。
・設定ファイル(拡張子が.esf)を作成し、PCへ保存。
・設定ファイルをロガーのEEPROMに保存。
・ロガーがメモリーカードに書き込んだログファイル(拡張子が.emj)を.csvに変
換してPCへ保存。
ロガーは内蔵EEPROMに保存された設定ファイルに従って動作と計測をするだけ、メモリーカードはデータを記録するだけ、ELOGが一連の作業を仲介するという構成です。 ELOGの画面はヘッダーエリア、フッダーエリア、設定エリアの3箇所に分かれ、タブの切り替えで設定エリアの表示が変わります。つまりフッダーとヘッダーはどこからでも 操作できます。
3-1.ヘッダーのConnectボタンを押すとELOGとロガーが通信を開始します。COMポート番号は接続したPCで使用可能なポートをELOGが表示します。接続時はLEDがゆっく り(0.6秒点灯、周期3秒)点滅を継続します。このときログスイッチがSTARTの位置ではPCとの接続が出来ません。STOPの位置でのみ通信可能です。
3-2.ヘッダーのSet
Timeボタンを押してロガーの時計をPCに同期させます。この操作の前にあらかじめPCの時計をtime.nist.govや電波時計などで合わせておくと正確です。 任意の時刻に設定したいときはSynchronized with PC Clockのチェックを外して、時刻を指定し、Set Timeを押します。これらの操作は時計合わせをしたいタイミングで任意 に行ってください。時計の誤差は±30秒/年と一般的なクオーツ時計よりかなり良いので頻繁に行う必要はないです。単三電池とバックアップ電池を同時に交換した場合には 再設定が必要になるので、片方ずつ交換することをお奨めします。
3-3.出荷時は8ch全てDIFF-5000mVレンジ、インターバル10分、カウンタとRS232類のセンサーを使用しない、電源電圧と基板温度の記録を行うという設定になっています。 もちろん任意に変更可能です。ここでヘッダーのSave Setting
Fileボタンを押すと、以下左の表示が出ます。
通常はBothを指定し、ロガーとPCそれぞれに設定ファイルを保存します。そうすることでPC側の設定ファイルがバックアップにもなりますし、複数のロガーに対して同じ設 定を行なう、サポートを受けるときに弊社にメール添付で送ったりとなかなか便利です。保存する際は解りやすいファイルネームを任意に付けましょう。このとき日本語や全 角は避けてください。また半角英数16文字の制約があります。基本的にはこのファイルの中身は他の汎用的なソフトで編集しないでください。なお、PCに保存した設定ファ イルはデータロガーを接続していなくても編集、PC上に保存まではできます。設定ファイルを作っておき、後ほどロガーに保存する事も可能という意味です。
これでロガーのEPROMとPCに同じ設定ファイル(拡張子が.esf)が保存されたことになります。次回ELOGを立ち上げたとき、ヘッダーのRead Setting Fileを押すと上記右の表 示が出ますから、好きな方からELOGに読み込みできます。複数の異なる設定ファイルをPCに保存しておき、用途に応じて使い分けすることも可能です。ただし、ロガーには 1つの設定ファイルのみしか記憶できない制約があり、最後に保存した設定ファイルに従った動作を行います。また、ELOGも1つの設定ファイルしか表示できない制約を設 けています。厳密にはPCに保存される設定ファイルとロガーに保存されるそれには差分がありますが、Data File
Calculation Settingによる演算処理にのみ関与する差分です。Physical Valueも含めて後述します。
3-4.フッダーのRead Nowを押すと動作確認ができます。センサー類が接続されていれば、その出力を読み取り、設定エリアのMeasured Voltageに表示します。表示はレンジ に依存せずmV単位です。何も接続していない場合は出鱈目な値を表示しますが、それは解放端の電位なのでそういうものです。心配在りません。
3-5.設定が完了後、フッダーのBattery Life Calculatorを使うとおおまかな電池寿命を確認できます。この演算は設定ファイルに応じた動作時間とプレヒートの積算時間、フッ ダー最下段に表示されるTotal Operating Time、Total Preheat
Time、入力した電源容量を基にした計算値を返します。例えば、上記の設定のままで、Battery Capacityに単三 アルカリの代表値である2000mAhを入力すると347.32 dayを表示します。プレヒートによる消費電流は1箇所当たり15mAを仮定した常数として使っています。なお、この電池 寿命は電池容量そのものが温度によって変化したり、そもそも容量が公称値でなかったりする要因によって定まりません。また、外部電源として12Vの鉛蓄電池を接続したと きはその容量×2倍の電流容量と本体乾電池の合計を入力します。これには理由があり、外部電源は通常12Vのものがよく使われますが、ロガーは高効率DC-DCコンバータを 使った降圧で6V駆動しています。例えば12V-7Ahの鉛蓄電池は84Whの仕事率ですが、6Vで使うので84/6=14Ah相当になります。つまりこのときの入力値は鉛蓄14,000+単三 アルカリ2,000=16,000mAhを入力しますが、値は2777.8 dayを表示します。さすがにここまで長いと電池の自然放電が大きく影響してきます。総じてこの演算結果は保証値で はなく、目安として理解してください。
3-6.フッダーにはLogger Statusも表示されます。Read Nowを押したときのロガーの状態を把握する機能です。ロガーが認識している現在日時、本体電池の電圧、基板のアル ミブロックの温度(熱電対の冷接点補償用))を表示します。本体電池の電圧は実用の上で特に重要な確認事項で、新規に現場投入時はアルカリの場合5.5Vを切っていたら交換 した方がよいでしょう。注意点として、外部電源を接続した場合、Battery Voltageの値は参考になりません。これは搭載する単三電池の状態を知ることが目的の機能なので 6.1Vが計測の上限だからです。例えば外部電池が実質12Vであったとしても表示は6.1Vになります。外部電池の電圧は別途テスターなどで確認してください。
3-7.設定とその保存を終えたらヘッダーのDisconnectを押し、通信を解除し、USBケーブルを抜きます。これでロガーは稼働を待つのみのスリープの状態です。本体中央の LOGスイッチをStart側へスライドすると計測開始です。このときLEDが数秒間点滅したあと消灯します。計測を終了するときはLOGスイッチをStop側へスライドしてくださ い。LEDが数秒間点滅した後消灯します。もし計測動作中にスライドスイッチを操作した場合は計測が終わってから点滅し始めます。急がずある程度待ってから判断してくだ さい。メモリーカードを抜くのは消灯してから行ってください。書き込み中は抜かないという意味です。抜いたメモリーカードをPCへ直接接続してELOGのメニューにある Convertを使ってログファイル.emjを指定してCSVにコンバートしてください。Convertで作成されるCSVファイルは、ログファイルと同じ階層に保存されますので、ログファ イルを一度PCへコピペ、そのファイルを指定してConvertの操作を行う方が良いでしょう。
3-8.ログ開始、計測、終了というサイクルを設定の変更無しで繰り返し行うことが可能です。例えば、ログスイッチでSTARTし、ある期間計測を行い、STOPする。引き続き 任意のタイミングでまたSTARTして計測し、STOPするというサイクルです。この場合、X回計測したらX個のファイルがメモリーカードへ記録されます。STOPの時はメモリ ーカードを抜いて、PCへログデータをコピーしておく事もできます。
3-9.カードへ記録されたログファイルはいかなる操作においてもロガーやELOGから消去はできません。その機能を与えていないのです。カードをPCに刺して人為的に消去、 もしくはフォーマットすることだけが唯一の消去方法になります。これはデータのプロテクトの観点からそういう仕様にしています。
ここまでで、設定、記録、データのCSVコンバートという流れを説明しました。以下にまとめます。
・ロガーとPCを接続し、ELOGを立ち上げ、Connectボタンで通信を開始しま
す。
・設定エリアを操作して設定し、Save Setting Fileボタンで、通常はBothボタン
を選定し、設定ファイル.esfをロガーへ書き込み、同時にPCへ保存します。
・LOGスイッチを使って記録開始、終了します。
・メモリーカードを抜いて、PCに差込み、ELOGを使ってCSVへコンバートしま
す。
注意のまとめ
・設定ファイルを作成するだけでしたらロガーと接続する必要はございません。
ELOG単独で作成可能です。
・ロガーとELOGの通信はLOGスイッチがSTOPでなければ通信できません。
・通信時は、ReadNowボタンで現在値を表示する事はできますが、カードへの
記録はできません。センサーを配線した後、センサーの動作確認を行うまでで
す。
・ログファイルはメモリーカードへ記録され、カードを直接PCに刺してログデ
ータを回収、CSV変換します。つまり、ロガーとPC間のUSBケーブル経由でメ
モリーカード内 のログファイルが流れることはありません。
・設定ファイル(.esf)はメモ帳などで開くことができますが、その状態で編集は
しないでください。必ずELOGを通して設定してください。