デンドロメーター
参考文献
Overview
デンドロメーターとは、光合成速度、水ポテンシャルなど植物から直接的に得られる生体情報の計測は自動計測が困難なものが多い中、それらの対極に位置する測器の1つです。植物の幹や茎径の日変動を計測することは、日中刻々と変化する光合成、蒸散、樹液流などの収縮要因と、夜間の根から幹への水の貯蔵の肥大要因の結果として変位した物理量の計測と言えます。長期的な年変動を計測することは、肥大生長と炭素固定の速度の計測と言えます。中期的な現象としては、過度な水ストレスの経歴が、その後週単位で影響する状況の解析にも使えるデータを得ることが可能です。短期的な時間変化としては、蒸散速度や水ポテンシャルと言った連続計測が困難なパラメーターに呼応する変位の計測が可能です。総じて日々の環境変化に呼応する個体の反応を高時間分解能、高い変位分解能で長期間、かつノーメンテナンスで計測できることが最大のメリットです。また消費電力が低く、absolute方式の変位読取の設計ゆえに、暖機運転不要、乾電池程度の電力で十分に長期的なインターバル測定が可能な特徴も併せ持ちます。
Features
・非破壊型
・高時間分解能、無人、高分解能で計測
・φ1.5~23mmの測定レンジ
・出力はレシオメトリック。内部のポテンショメータの温度特性を回避
・摩擦が最小限のためバネ定数を低く設定可能。バネ常数は注文時に打合せ可。
What is Dendrometer MIJ-02LMS TypeII?
MIJ-02LMS TypeIIは、φ23mm以下の細い枝、細い茎を対象とし、非破壊で装着と運用が可能な高分解能のデンドロメーターです。
屋外で長期安定した動作を検証済みのMIJ-02LM弐型をベースに、細いサンプルに対応したハンマーヘッドを装着した構造です。植物は細いほど耐破壊性が落ちるため、LMSは「非破壊」を条件として開発しました。サンプル断面を120°分割の3方向から絞めることでよりホールド性を上げています。また、サンプルへの締結部分を計側断面とは分離し、茎(幹)の方向へ延伸した独特な締結部の形状によって、植物から見ると異物の装着によって生じるストレスを分散し、最小限にすることを実現しています。このストレスフリーな構造は他にもメリットがあり、センサーがサンプルになじむ時間をほぼ皆無にでき、装着直後から解析に有効な計測データを出力できます
ハンマーヘッドのもう一つのメリットは幾何学的に分解能を増幅する効果です。細い幹や茎は一般的に±数十um/日の範囲で半径が変位します。その変化を確認するのに必要な測定分解能はその1/100の0.1umが目安だと判断できます。LMSが接続されるデータロガーの分解能に依存しますが0.00911um/0.01mVの分解能を得られます。これはLM型を凌ぐ分解能です。その根拠はハンマーヘッドにあります。このステーは幾何学的に分解能を上げる効果があり、直動型のLM比で分解能が1/(1+SQR2)になります。
年変化としては、特に生長が早い熱帯雨林では直径で10mm/年、温帯の日本では数mm/年の範囲が一般的です。LMSはφ1.5~23mmの測定レンジですから、その範囲であれば十分なレンジと言えます。個体の炭素固定や生産量の直接的な指標を得られ、スケーリングで森林や畑全体の値が推定できます。
Figure
Figure1. みかん苗木の計測 (Click Figure for Enlarge)
計測期間:5/11~7/31 無人での計測
計測インターバル:30分
みかんの苗木にLMSを設置し幹を計測しました。
かなりわかりやすい計測結果を得ることができています。果実ができる工程では果実に栄養が取られる為、幹の急激な成長はありませんでしたが、果実収穫してからの幹の急激な肥大化が確認できると思います。
苗木のような細い物は樹木用のデンドロメーターでは計測は非常に難しいですがLMSを使えば苗木レベルも容易に計測できます。
計測に使用した機器:MIJ02-LMS TypeII & MIJ01 Datalogger
Data Loggers
Overview
MIJ-12の組み合わせで多点ばら撒きが可能。計測地の距離が離れている場合はMIJ-12との組み合わせがお勧めです。もちろん1か所だけでの酸素濃度測定したい方にもお勧めです
Overview
MIJ-01の組み合わせで他のパラメーターと同時に酸素濃度測定が可能。測定個所の距離が近い場合での多点酸素濃度測定にも使用可能。
Specifications
標準品型式 | MIJ-02LMS TypeII (センサーのみ) |
測定対象直径範囲 | φ1.5mm~23mm |
出力 | レシオメトリック(例:プレヒート5V時に、出力のフルスケールが5V) |
分解能 | 0.911um/mV |
出力変換式 | dr=11000*(Vout/ Vpre) / ( 1+SQR2 ) dr:半径の変位、Vout:出力mV、Vpre:プレヒート電圧mV、SQR:平方根 解説 |
プレヒート | 5VDC(1mA未満 at 5VDC)、0.1秒(ロガーの立上がり性能により<1秒) |
耐電圧 | 18VDC以下 |
ピンアサイン | 茶:プレヒート 青:電圧出力 黒:コモン(プレヒートGNDと電圧出力GNDが共用) |
摺動抵抗 | 0.3N以下(バネを含まないとき) |
バネ常数 | 標準0.3N/mm、他に0.1N/mmに指定可能 |
直線性 | ±1% |
温度特性 | <-0.126um/DEG |
防水能 | IP67 |
サイズ | 全長:133mm (対象最大直径23mmの計測時) |
重量 | 42g (U型ステー含む, 付属ケーブル含まず) |
標準付属品 | MIJ-02 LMS本体 エプトシーラー 50cm (固定用ベルト) インシュロック ×4 (エプトシーラーの緩み予防) |
Parts List
MIJ-02 LMS | LMS本体, エプトシーラー1m、インシュロック |
標準ケーブル 2m | Cable with IP68 M12 connector 2m |
標準ケーブル 5m | Cable with IP68 M12 connector 5m |
標準ケーブル 10m | Cable with IP68 M12 connector 10m |
中継両端コネクタケーブル5m | 標準付属ケーブルとデンドロ間に接続する5mケーブル |
中継両端コネクタケーブル10m | 標準付属ケーブルとデンドロ間に接続する10mケーブル |
Waterproof Logger MIJ-12 | 1ch防水ロガー |
MIJ-01 Data Logger | 8ch データロガー (分解能重視の方) |