センサーの劣化要因とその対策

 



一般的なPARセンサーは、外部に筐体、アクリル製拡散板、内部にSiフォトダイオード、UV/IRカットフィルター、赤色 感度調整用の青フィルター、シャント抵抗(電流出力の場合は無し)という構成が採られています。経年劣化に関する主な 部品は赤文字で記載した部品になります。以下の表に各部品の劣化の要因をまとめました。

分品 要因 劣化の影響方向
1.拡散板 紫外線、水蒸気、温度変化 〜2年未満程度は過小評価、それ以上は過大評価
2.UV/IRカットフィルター 水蒸気、酸化 過小評価
3.青フィルター 水蒸気、温度変化 過小評価


1は面白い劣化を示します。拡散板に良く用いられるオパール(白色)のアクリルは紫外線を原因とした経年劣化が原因 で、光の透過率が徐々に落ちていき、それはセンサー出力を減少させていきます。その一方で、素材そのもののが吸湿 性を持ち合わせており、吸湿と乾燥を繰り返すことで、表面から徐々に崩壊していきます。崩壊した表面は艶が落ち、 これは反射率を下げ、結果としてセンサー出力を増加させます。上記両方の効果が相殺され、バランスが取れてしまう 個体もありますが、崩壊は拡散板の形状を乱してしまいます。2は筐体のどこかから、通常はケーブル取出部のささやか な隙間や拡散板の接着部から水蒸気や水が進入し、一方で、筐体内部の酸素と相まって金属蒸着面を腐食します。腐食 したフィルターの透過率は大きく落ち、かつ透過スペクトルも乱れます。3は通称ゼラチンフィルターと呼ばれるプラス チック製のフィルターを使用した場合に生じる現象で、透過率を落とします。

MIJ-14シリーズでは1の対策として、PTFE製の拡散板を採用しています。デメリットは接着剤の使用が不可能なことで 、そのためにOリング、トップカバー、ネジを使った締結が必要になり、高コストになります。2の対策は前項記述の GaAsP型フォトダイオードを採用してフィルターそのものを削除しました。3はガラス製青フィルターを採用し、解消。 他にも、ベースの締結にもOリングを設置、埋込みコネクタは充填剤で埋設するなどの防水対策、組立時もしくは、設置 後にOリングからごく微量透過する大気中の水蒸気の対策として、ガス透過係数の低いⅡ種のNBR製Oリングを使い、更 に内部に乾燥剤を入れることで対策しています。モレキュラーシーブ1粒はMIJ-14のデッドボリュームに30℃、60%RH の水蒸気が入った場合、DP-50℃まで乾燥出来ますが、これを約100粒を内蔵し、交換の目安を色で判断できるように数 粒のシリカゲルを混入しています。