受動型温度補償回路 P.T.C.C. Passive Temperature Compensation Circuit





K2型で採用しているSi型フォトダイオードの温度特性は負の値を持ち、実測値で-0.225%/℃を得ています。環境の温度変化が30℃生 じるのは年変動としては良くある範囲であり、上記温度特性から計算すると、例えば1000W/m2時に、1000W/m2×-0.225%/℃÷ 100%×30℃=67.5W/m2という大きな誤差が生じます。従来、この温度特性を解消する手法は確立されておらず、150年の歴史を持つ サーモパイル型日射計のISO9060規格の中で最高ランクのセカンダリースタンダード(準器)においてさえ±0.04%/℃、この中でも飛び 抜けて信頼性の高いオランダの某日射計の一番良いモデルでも0.017%/℃(-20〜40℃平均値)です。冷接点の外気や日射による温度 変化が与える温度特性故、それは線形なのに、非線形の振る舞いをするサーミスタで温度補償する手法としてはとても良い値だと言え ます。一方、K2型に搭載されるPTCCではSiの負の線形な温度特性に対して、正の線形な温度特性を掛け合わせるシンプルな回路なの で、結果を出しやすい手法だとも言えます。下に示した図は、ISO9060で規格化されたセカンダリースタンダードの温度特性の許容範 囲、K2の温度特性範囲、世界一クラスの日射計の代表的な温度特性、世界中で一般的にSi日射センサーで使用されているSiフォトダイ オードの電流値、もしくはSiに抵抗を並列に接続してIV変換した状態での電圧値における温度特性を示しています。

K2型では、量産時スペックとして0.01%/℃以下を実現し、温度による誤差は上記条件時に1000W/m2×±0.01%/℃÷100%×30℃= ±3W/m2に押さえています。参考として、この回路特性を追い込み、±0.001%/℃のEverest型も製造は可能ですが、環境試験器で5 〜8回の試験結果のフィードバックと回路調整が必要となる理由で、量産は困難なため、積極的に受注する事は出来ません。