受動型温度補償回路 P.T.C.C. Passive Temperature Compensation Circuit





MIJ-14PAR弐型/K2-アンプレス

K2型で採用しているSi型フォトダイオードにUV/IRカットフィルターを重ねた状態での、つまりSiの受光範囲である280〜1100nmのう ち400〜700nmのみを受光範囲としたセッティングにおいて、その温度特性は負の値を持ち、実測値で-0.276%/℃を得ています。環 境の温度変化が30℃生じるのは年変動としては良くある範囲であり、上記温度特性から計算すると、例えば2000μE時に、2000μE× -0.276%/℃÷100%×30℃=165.6μEという大きな誤差が生じます。従来、この温度特性を解消する手法は確立されておらず、150年 の歴史を持つサーモパイル型日射計のISO9060規格の中で最高ランクのセカンダリースタンダード(準器)においてさえ±0.04%/℃、こ の中でも飛び抜けて信頼性の高いオランダの某日射計の一番良いモデルでも0.017%/℃(-20〜40℃平均値)です。冷接点の外気や日 射による温度変化が与える温度特性故、それは線形なのに、非線形の振る舞いをするサーミスタで温度補償する手法としてはとても良 い値だと言えます。一方、K2型に搭載されるPTCCではSiの負の線形な温度特性に対して、正の線形な温度特性を掛け合わせるシンプ ルな回路なので、結果を出しやすい手法だとも言えます。ところがこのPTCCでは負の補正を与えることが出来ないという特徴があり 、それゆえK2型ではSi素子を採用したという理由も述べておきます。GaAsP素子の温度特性は正の温度特性なのです。下に示した図は 、ISO9060で規格化されたセカンダリースタンダードの温度特性の許容範囲、K2の温度特性範囲、世界一クラスの日射計の代表的な温 度特性、世界中で一般的にPARセンサーで使用されているSiフォトダイオードの電流値、もしくはSiに抵抗を並列に接続してIV変換し た状態での電圧値における温度特性を示しています。
K2型では、量産時スペックとして0.01%/℃以下を実現し、温度による誤差は上記条件時に2000μE×±0.01%/℃÷100%×30℃=±6 μEに押さえています。参考として、この回路特性を追い込み、±0.001%/℃のEverest型も製造は可能ですが、環境試験器で5〜8回 の試験結果のフィードバックと回路調整が必要となる理由で、量産は困難なため、積極的に受注する事は出来ません。
注意:PARセンサーというジャンルでは、温度特性についての積極的な補正、議論はあまりなされていない状況下、仕方なく日射計を 比較対象に説明しましたが、価格帯が一桁違う、計測しているパラメータが違うという理由で、本来は比較するべきものではないこと を断っておきます。