内蔵アンプ



オートゼロアンプを採用しました。通常のOPアンプでは低オフセット品でも0.1mV以下のものはそうありません。その まま増幅するとオフセット電圧も利得倍されますので、オフセット電圧0.1mVのOPアンプであっても、利得10倍で使用 すれば1mVのオフセット電圧が出てきます。さらに、温度ドリフトの影響を受けますので、周囲温度変化が著しい屋外 での使用には不利です。これらの欠点を解決するために作られたのがオートゼロアンプです。増幅用のメインアンプに 加えてオフセット調整用のアンプを持つデュアルアンプにより、オフセット調整と通常の信号増幅を交互に行う動作を 行なっています。オフセット電圧を常時計測し、フィードバックされた信号を計測値として出力するため、オフセット 電圧を小さくするだけでなく、温度ドリフトの影響が非常に小さいという特徴も持っています。この効果はゼロ点、ス パン点の両方に効果があります。
校正時のスパン調整(絶対値調整)は、多回転トリマを操作することで行なっていますが、トリマは比較的温度特性が 悪いので、温度特性が良い固定抵抗(薄膜抵抗)60%+トリマ40%程度の比に設定しています。結果、温度ドリフトを最 小限にし、かつ0.1mV(0.1μmol)単位での調整を可能としました。
外来ノイズへの耐性を物理的に向上させるために、フォトダイオードとアンプ回路までの距離は最短(約4mm)となるよ うに実装しています。
フォトダイオード両端の電位差を差動増幅する構成を採り、一般的なフォトダイオード用アンプとは若干構成が異なっ ています。オートゼロアンプによってオフセット電圧、温度ドリフトの影響がほとんどないのは前述の通りです。また 、同相信号除去比は通常のOPアンプよりも高くしていますが、電源環境によってはコモンモードノイズの影響を受け、 0.4〜1mV未満のオフセットが現れることもあります。この対策として、本機はアクティブグランド回路を採用すること で、差動入力時の基準電位を電源GNDと分離、コモンモードノイズの影響を低減させ、遮光時の出力が0.05mV未満( 5m標準ケーブル時)を達成しています。一般的な光センサーでは、電流/電圧変換を抵抗のみで行う仕様が良く見られま す。この場合のF.S.10mV、ノイズ0.05mV、S/N比0.5%程度ですが、本機のS/NはF.S.5,000mV、ノイズ0.05mV、S/N 比0.001%となります。ノイズレベルの一例として、日の出時刻の実際の計測値を示します。