センサーの劣化要因とその対策/日射強度の瞬時値と積算値



<センサーの劣化要因とその対策>

一般的な光電型センサーは、筐体、アクリル製拡散板、Siフォトダイオード、シャント抵抗(電流出力の場合は無し)とい う構成が採られています。経年劣化に関する主な部品は拡散板になります。拡散板に良く用いられるオパール(白色)の アクリルは紫外線を原因とした経年劣化が原因で、光の透過率が徐々に落ちていき、それはセンサー出力を減少させてい きます。その一方で、素材そのもののが吸湿性を持ち合わせており、吸湿と乾燥を繰り返すことで、表面から徐々に崩壊 していきます。崩壊した表面は艶が落ち、これは反射率を下げ、結果としてセンサー出力を増加させます。上記両方の効 果が相殺され、バランスが取れてしまう個体もありますが、崩壊は拡散板の形状を乱してしまいます。
MIJ-14シリーズではこの対策として、PTFE製の拡散板を採用しています。製造側のデメリットは接着剤の使用が不可能 なことで、そのためにOリング、トップカバー、ネジを使った締結が必要になり、高コストになります。他にも、ベース の締結にもOリングを設置、埋込みコネクタは充填剤で埋設するなどの防水対策、組立時もしくは、設置後にOリングか らごく微量透過する大気中の水蒸気の対策として、ガス透過係数の低いⅡ種のNBR製Oリングを使い、更にOリングには バキュームグリスを塗布する対策を行っています。モレキュラーシーブ1粒は、MIJ-14のデッドボリュームに30℃、 60%RHの水蒸気が入った場合、DP-50℃まで乾燥出来ますが、これを約100粒を内蔵し、交換の目安を色で判断できる ように数粒のシリカゲルを混入しています。これらの乾燥剤は交換可能で、1年に一回は交換頂くことを推奨します。

<日射強度の瞬時値と積算値>

日射強度の瞬時値の計測は、特性や性能の評価ではよく使いますが、通常の研究や業務では積算日射量として、日、月、 年積算値を使うことの方が多いでしょう。上記した晴天時と曇天時のデータ(インターバル5分)を使って日積算値を求め ると、どの程度の差が熱型との間に出てくるかを演算した結果を下の表に示します。PROTO1と熱型との差は1%未満で す。ただし、ここにも注意点があり、それはログの記録間隔です。インターバルは機器の応答速度より長く取る必要があ ります。近年の熱型ではその改善がなされておりますが、それでも10秒未満程度で、一方。光電型ではマイクロ秒なので 、対等な比較が出来るかというと無理があり、故にどちらが正しいとは判断しがたい所です。特に曇天時の日射強度の変 動は激しいので、エラーの解釈には注意が必要となるでしょう。